学術委員としてのお仕事
2021.10.16
日本臨床エンブリオロジスト学会という学会があります。
そこでは、技術と知識を兼ね備えた方を「認定臨床エンブリオロジスト」と認定する資格試験を行っています。胚培養士の資格試験を行っている学会は他にも日本卵子学会があります。私はどちらにも所属しているわけですが、どちらかのみという方もいらっしゃいます。私個人の印象としては、日本臨床エンブリオロジスト学会に所属している方は、知識はもちろんのことですが、技術に誇りをもったこだわりが強い方が多いように思います。
その中で理事を務めさせて頂いているのですが、理事は各委員会の仕事があり、私は学術委員会に所属しています。その仕事の一つである臨床調査を紹介したいと思います。
毎年、日本臨床エンブリオロジスト学会では、ART実施施設における受精率、胚凍結融解後の生存率などをアンケート調査し、公表しています。その対象は、本学会の理事、幹事および代議員の所属する施設になります。そのため、一部の限られた施設になるのですが、技術力が高い施設が多く含まれることとなります。
内容の詳細は日本臨床エンブリオロジスト学会学会雑誌に公表されていますので、学会員以外の方でも購読して頂くことはできます。
目的としては、ただ調査を行うだけではありません。ヨーロッパヒト生殖医学会(ESHRE)が公表している培養室成績のKPI値を参考として、学会独自の指標を算出することを目指しています。
また、毎年トピックを決めて同時に調査を行い、今回は現在世間で注目されている技術である胚生検についてでした。
現在は来年の調査に向けての話し合いを進めているところです。現状に満足することなく、絶えず先を見据えて臨床に取り組むモチベーションとなっています。