急に寒くなってきました。みなさまは、体調に気をつけてお過ごしでしょうか?
世の中が落ち着いてくると、またいろんな動きがでてきます。以前ブログでご紹介したように、佐賀県では「さが・がんと生殖医療のネットワーク」を立ち上げました。その中で、当院は生殖医療実施施設として参加しており、佐賀県で唯一の認定施設となっています。
その施設認定についても以前は日本産科婦人科学会の認定のみでしたが、2021年から国からの助成金制度が変更になったことにともない、条件がより厳しくなりました。その条件のひとつとして、日本生殖医学会が認定している生殖医療専門医が常勤していることが必須となりました。
最近、県内のがん診療拠点病院から妊孕性温存について問い合わせを受けることがありますが、まだがん生殖医療についての周知はこれからだと思います。そこで、今回、佐賀大学医学部附属病院で県内の医療従事者を対象として講演会を行うこととなり、私も「がん妊孕性温存治療の概要」についての講演を担当させて頂くこととなりました。
まずは多くの方にがん生殖医療について知って頂くことからはじめていきたいと思います。
日本臨床エンブリオロジスト学会という学会があります。
そこでは、技術と知識を兼ね備えた方を「認定臨床エンブリオロジスト」と認定する資格試験を行っています。胚培養士の資格試験を行っている学会は他にも日本卵子学会があります。私はどちらにも所属しているわけですが、どちらかのみという方もいらっしゃいます。私個人の印象としては、日本臨床エンブリオロジスト学会に所属している方は、知識はもちろんのことですが、技術に誇りをもったこだわりが強い方が多いように思います。
その中で理事を務めさせて頂いているのですが、理事は各委員会の仕事があり、私は学術委員会に所属しています。その仕事の一つである臨床調査を紹介したいと思います。
毎年、日本臨床エンブリオロジスト学会では、ART実施施設における受精率、胚凍結融解後の生存率などをアンケート調査し、公表しています。その対象は、本学会の理事、幹事および代議員の所属する施設になります。そのため、一部の限られた施設になるのですが、技術力が高い施設が多く含まれることとなります。
内容の詳細は日本臨床エンブリオロジスト学会学会雑誌に公表されていますので、学会員以外の方でも購読して頂くことはできます。
目的としては、ただ調査を行うだけではありません。ヨーロッパヒト生殖医学会(ESHRE)が公表している培養室成績のKPI値を参考として、学会独自の指標を算出することを目指しています。
また、毎年トピックを決めて同時に調査を行い、今回は現在世間で注目されている技術である胚生検についてでした。
現在は来年の調査に向けての話し合いを進めているところです。現状に満足することなく、絶えず先を見据えて臨床に取り組むモチベーションとなっています。
みなさまこの長く続く大雨により影響は受けられていないでしょうか?
武雄市は浸水による被害を受けているところもありますが、当院は今のところは影響はありません。私は朝から出勤して内外を確認して、そのままデスクワークをしています。
ここ数年気候の変化により数十年に1度と言われる大雨が数年に1回あっているように思います。当院は幸いなことに武雄市のなかでは高い場所にあります。しかしながら、一時的に停電なることはあります。
この度、培養室と手術室に備えている蓄電池を1台から3台に増設しました。
これまでは1台でも不都合はなかったのですが、婦人科開設から培養器が増えたこと、長時間の停電が起きた場合の対応、今後の培養器を増設する可能性を考えました。当初からいずれ増設すると思っていたため、壁側の配線工事は済んでいました。
内部には電圧計が設置され、容量の残量がリアルタイムで確認することができます。
後ろの配電盤に培養室と手術室のすべてのコンセントを割り振っているため、今回の配電工事は複雑でしたが、佐電工さんの正確で早い仕事により、3日間の予定が8月9日と13日の2日間で完了しました。培養業務に影響がでないようにと休日に作業して頂いて非常に助かりました。そのため、私も作業に立ち合うことができ安心しました。
もしものときはないにこしたことはありませんが、これでより安全な環境を提供できるようになりました。
最近は便利になり、会議もwebで行われるようになりました。今月は会議が多く、診察室のカレンダーに「会議」と書いてあるのを受診のときに目にした方もいらっしゃると思います。今日の夕方からは培養士の学会の会議があり、そのため午後の外来は少なめにしていたところ、時間ができたので、久々の更新です。
本日は当院のリカバリールームをご紹介します。
当院では採卵、胚移植、子宮鏡検査などの処置のときに利用して頂いています。
一般的なリカバリールームは大部屋でカーテンで仕切られている狭い空間をイメージされることが多いと思いますが、当院では個室タイプとしています。
採卵のときはご夫婦でゆっくりと落ち着いた時間を過ごして頂きたいと思っています。
また、最近当院では胚移植のときにご夫婦で来院される方が増えています。不妊治療に対するご夫婦の向き合い方が時代とともに変化してきていることを感じます。
当院としましても、これからもご夫婦への配慮を忘れずに診療を続けていきたいと思います。
気がつけば寒さも緩み、通勤のときとジャケットも薄手のものになりました。
春といえば、お昼にお出かけの季節となり、4月9日から4月30日までの毎週金曜日に武雄看護学校で講義を担当することになりました。時間が12時50分から14時30分となっていますので、午前の外来が終わるとすぐに向かって、帰り次第にすぐに子宮鏡検査という流れになります。そのため、午後の外来の開始が通常より遅くなります。皆様には大変ご迷惑をおかけ致しますが、ご理解の程、よろしくお願い致します。
地域の医療従事者の育成に協力するとともに、少しでも産婦人科医療に興味をもってくれる看護学生が増えることを期待しています。