最後の認定試験
2024.08.31
かなり時間があきましたが、書こうと思いながら今になりました。
2024年1月に日本臨床エンブリオロジスト学会としての最後の認定試験を行いました。高度生殖補助医療で培養業務を行う胚培養士の認定資格には、日本臨床エンブリオロジスト学会が認定する「臨床エンブリオロジスト」と日本卵子学会が認定する「生殖補助医療胚培養士」の二つがありました。この度、その資格が日本卵子学会が認定する生殖補助医療胚培養士に統一されました。統一されたことのメリットとしては、これから胚培養士を目指す方がどちらの資格を取得すればよいのか迷う必要がなくなります。将来的に胚培養士が国家資格化になるためには、複数の学会認定資格が存在することは国からすると好ましいことではなかったようです。ただ、よいことばかりではありません。臨床エンブリオロジストは筆記試験・面接に加えて、顕微授精と胚の凍結および融解の動画審査を行っていましたが、生殖補助医療胚培養士には動画審査はありません。統一された資格に動画審査を導入することはは残念ながらできませんでした。
私は認定資格委員であったため、認定試験の前日から現地入りして、会場設営から行いました。当日朝は受付を行い、面接官を担当しました。面接ではエンブリオロジストとしての将来像、自分の成績、日常業務のことなどを質問するのですが、今回私は胚培養士どうしのコミュニケーションとチームワークについての質問をしました。胚培養士は主に培養室という限られた場所での業務となるので、人間関係が重要になってきます。今回は最後の試験であったため、新人の方よりはベテランの方が多かったようで、それぞれの施設の規模などにより違った返答があり、こちらとしても参考になることもありました。
動画審査は、事前に2個の卵子に対する顕微授精と1個の胚凍結と融解の動画を送って頂いて審査します。ストップウォッチを片手に一時停止したり巻き戻したりしながら繰り返しチェックして、コメントも書きます。この動画審査をしていて思うことは、やはり施設によって細かいやり方が異なっているということです。
無事に今回の試験が終わり、臨床エンブリオロジストの最後の認定者が誕生しました。日本卵子学会のみに所属している胚培養士の方が多いのが現状ですが、私の個人的な意見としては、臨床エンブリオロジスト学会にも参加して頂いている方は技術に誇りをもっているマニアだと思っています。
学会の記事については、また後日ということで