3月2日に佐賀市で開催された子宮がん研修会に参加してきました。土曜の午後からだったため、午前の外来が終わると急いで向かいました。
佐賀県では子宮がん検診を行う施設登録のための条件として、年に2回の子宮がんに関する講習会の受講が義務付けられています。このシステムは山口県にも長崎県にもなかったことであり、佐賀県は子宮がん検診に対して力をいれていることがうかがえます。しかしながら、佐賀県は子宮頸がんの75歳未満年齢調節別死亡率が全国ワースト2位という、よろしくない記録をもっています(2013年~2017年の平均)。
子宮頸がん検診は私が医師になったころとは大きく変化しています。当時は、綿棒やヘラで細胞を採取して、プレパラートに細胞を擦りつけていましたが、現在は専用のブラシで採取して、液体中に細胞を落とし、機械で均一に細胞を分布させて標本を作成するようになっています。また、佐賀県の広域子宮頸がん検診では子宮頸がんの原因であるHPVの有無を検査するHPV併用検診が行われています。将来的には、HPV単独検診に移行すると考えられています。
当院では初診のときに子宮頸がん検診の受診歴を確認しています。検診歴がない方は当院で子宮頸がん検診を行っています。定期的に検診を受けられている方は引き続きの検診を勧めています。もちろん、これまでに検診で要精密検査であった方は、かかりつけで引き続きフォローを受けて下さい。これから妊娠を目指していくためには、子宮頸がん検診に異常がないことを確認しておくことは非常に重要なことです。みなさま、子宮頸がん検診を定期的に受けましょう。
2月23日の祝日、新幹線で長崎に講演会に行ってきました。
最近は新幹線ができたので、車より新幹線の方が早く、最速で23分と非常に便利になりました。しかし、ちょうど長崎はランタンフェスティバルが行われており、通路まで満員でした。
長崎県では毎年HTLV-1母子感染に関する講演会が開催されています。HTLV-1は母乳を介する母子感染が主な経路だとされています。特に長崎や佐賀では多い地域性があり、長崎県では長年研究が行われています。その最新の知見が学べるよい機会でした。母乳を介するので、母乳を与えずに完全に人工乳に切り替えるのが予防策なのですが、母子関係のことを考えると、3ヶ月間の短期授乳では感染のリスクが上がらないということでした。しかしながら、短期授乳での授乳の中止の仕方の指導が十分に行えていないケースがあることや、20から30%の方は短期授乳で終わることができていない現状があるそうです。HTLV-1はキャリアでは特に症状はありませんが、発症してATLやHAMとなると非常に予後が悪い疾患です。その最新の診断や治療法は日頃学ぶことがないので、非常に勉強になりました。また、以前とは違い、水平感染のケースもあるということでした。
当院で二人目を希望されて来院されるときは授乳を完全に止めていて、乳汁分泌がなく月経が再開していることが条件なのですが、そのときに「HTLV-1が陽性だったので、授乳はしませんでした。」というケースが実際にあり、身近な話だと感じています。
講演会のあとは、長崎にいたときの馴染みのお店をまわってきました。
浜口町の「さくらい」は私のお気に入りです。生からすみも美味しかったです。
最後はランタンフェスティバスを満喫して帰路につきました。
先日、2月初旬に永世会の恒例行事であるお祓いに武雄神社に行ってきました。
あいにくの雨でしたが、雨の武雄神社もまた趣があります。
武雄神社の裏手には、パワースポットで人気がある大楠があります。まだ行かれたことがない方にはぜひオススメです。私も後日天気のよい日に久しぶりに行ってみようかと思います。
「先生、ほかに何かできることはないですか?」
診察の合間でときどき受ける質問です。
当院では、初診のときに生活習慣の気をつけるポイントを説明しています。また、スクリーニング検査でプレコンセプションケアに関する項目をチェックして結果に応じて対応をしています。理想を言えば、食事も関係していますが、何でもかんでも制限がついてしまうと、余計にストレスがたまって良くないのではと私は考えているので、それ以上のことはあまり言ってはいません。
昨年のことになるのですが、9月に生殖バイオロジー東京シンポジウムに参加しました。場所は恒例の東京ガーデンテラス・紀尾井カンファレンスです。朝会場に向かうときの1枚です。
その中で、「生殖医療から考えるAGEを標的としたアンチエイジング」という講演がありました。演者は昭和大学の山岸昌一教授です。AGE(エージーイー)とは「終末糖化産物」のことです。AGEが蓄積すると老化の原因となり、さまざまな病気の原因となります。そのため、食事由来のAGEを減らすことによって健康を保ちましょうというお話でした。私達は、食事というとカロリー制限とまず考えることが多いと思いますが、AGE制限食という考え方はおもしろいと思いました。食品によって含まれるAGE値が異なりますが、その調理法によってもAGE値が変化するそうです。生、煮る、焼く(油なし)、揚げる、焼く(油あり)の順にAGE値は上昇します。
帰宅後にさっそくネットで講演で紹介されていた「数字でわかる老けない食事 AGEデータブック」を購入しました。食品が194品目例示されていて非常にわかりやすく説明されていました。こういった、食材選びや調理法の選択が面白いと共感できる方は、試されてみてはいかがでしょうか。
この度、こども家庭庁のホームページで不妊治療を実施している医療機関が検索できるようになりました。
https://funin-fuiku.cfa.go.jp/clinic/
検索項目は、「都道府県から」、「治療内容から」、「その他の条件から」にわかれています。ちなみに、その他の条件には駐車場があるかという項目が含まれています。都会と地方の違いもあるでしょうし、実際の交通アクセスによる通いやすさも重要だからだと思われます。
当院は主に佐賀県と長崎県の患者さんが来院されているので、都道府県検索で佐賀県と長崎県の条件で検索すると当院含めて医療機関が2件ヒットします。2023年の7月にアンケート調査があり、対象は保険診療として生殖補助医療を実施している施設となっていました。しかしながら、すべての施設が回答しているわけではないようです。
内容についての補足事項としましては、治療実績は「2021年1月から同年12月までの期間に、治療開始時点において35歳から40歳未満である女性に対して実施した治療成績を記載して下さい。」となっていました。当院では新鮮胚移植は行っておらず、採卵して胚盤胞で凍結を行い、その後に融解胚移植を行っています。そのため、34歳以下の方、40歳以上の方の治療成績は含まれていないことにご注意下さい。一方で、来院患者情報は治療を受けられたすべての患者さんが含まれていますので、ご参考になると思います。
このアンケートのよい点のひとつは、各施設の治療方針を記載できることだと思います。不妊治療が保険診療となり、診療できる範囲は決まっていますが、各施設によって理想と考える治療が異なるため、治療方針もさまざまです。当院の治療方針をしっかりと提示させて頂いたので、よい機会と捉えています。今後の2年に1度の保険診療の改定であったり、先進医療が将来的には保険になる可能性がある等の動向によっては、また治療方針が変更になることもあるかもしれませんが、保険診療がメインになってしばらく経過し、現在の方向性としは定まってきたと思います。みなさまの医療機関を選択する一助となれば幸いです。